大判例

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高松高等裁判所 昭和27年(く)4号 判決

請求人

横田穂

〔抄録〕

論旨は原判決(確定した第二審判決)宣告当時既に証拠資料として存在していたものであつても、共同被告人が上告した結果上告裁判所又は差戻後の第二審裁判所において原判決をした裁判所と異なる証拠価値判断がなされた場合には、旧刑事訴訟法第四百八十五条第六号に定める再審事由に該当すると謂うのである。しかし原判決宣告当時既に証拠資料として存在していたもの(本件被告事件においては相被告人岡村繁行、証人池本良三郎及び同竹村和夫等の第二審公判廷における各供述)については、相被告人等が上告した結果上告裁判所及び差戻後の第二審裁判所において右各証拠につき差戻前の第二審裁判所(原判決裁判所)と異なる価値判断がなされたとしても(その結果相被告人等は無罪の言渡を受け該判決が確定した)、旧刑事訴訟法第四百八十五条第六号にいわゆる「有罪の言渡を受けた者に対し無罪を言渡し又は原判決において認めた罪より軽い罪を認むべき明確な証拠を新に発見したとき」に該当しないことは多言を要しないところである。而して本件被告事件は白下糖を統制額を超過する価格で販売し又は買受けたとの物価統制令違反被告事件であつて、被告人等(再審請求人を含む)は白下糖を統制額を超過する価格で取引することにつき高知県経済防犯課長の了解を得ていたことを主張した事案であるところ、被告人三十七名中三十四名は第二審の有罪判決に対し上告した結果、上告裁判所(当高等裁判所)において犯意の点につき証拠理由不備であるとして第二審判決が破棄され、差戻後の第二審裁判所において犯意を欠如するとの理由で右被告人三十四名に対し無罪を言渡されたこと記録上明かである。従て再審請求人(抗告申立人)も若し原判決に対し上告をしていたならば或は結局無罪の判決を受けていたかも判らないことは十分考えられるところである。しかし右の如き場合においても、再審請求人が上告を以て争はなかつた以上無罪を言渡すべき明確な証拠が原判決後において新に発見されない限り(原判決宣告迄に証拠資料としてあらわれなかつたものでなければならない)、旧刑事訴訟法第四百八十五条第六号の再審事由を主張する余地はないものと謂わなければならない。

尚論旨は原判決後において相被告人に対し無罪の確定判決があつたこと自体が「新に発見せられた証拠」に該当すると主張する。しかし原決定も説示する如く裁判所の証拠に対する価値判断の相違から同一の証拠資料に基いて同一事情の下における相被告人の行為に対し後に無罪の裁判が言渡され該裁判が確定したからといつて、そのこと自体が旧刑事訴訟法第四百八十五条第六号にいわゆる「新に発見された証拠」に該当するとはいえない。

(裁判長判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男 判事 呉屋愛永)

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